
福智町上野(あがの)で11月24日、「あがのレモン収穫祭」が開催された。
あがのレモンは、猟師の平野八十八さんがイノシシのすみかになってしまう耕作放棄地を活用して開墾した土地で育つレモン。レモンの木は5つの畑に約1000本あり、ノーワックスで育てている。6年前にレモンの木を植え始め、実がなり始めた5年目の昨年、初めて収穫祭を開催し、延べ150人が足を運んだという。2回目となる同祭には、町内外から330人が参加した。
同祭では、九州大学や西南学院大学の学生ボランティア30人以上、社会人ボランティア10人以上が参加し、収穫体験や企画などを盛り上げた。あがのレモンを使った「イノシシレモンカレー」「レモンモツ鍋」「レモンシフォンケーキ」「レモンどら焼き」などの飲食店も出店した。
併せて、学生が企画したお楽しみコンテンツも用意。食べられなくなってしまったレモンを投げて高得点を目指す「レモンストラックアウト」や、食べられるが見た目が悪いレモンに絵を描くことで愛着を生み出す「デコレモン」など、レモンに関する独自企画を提供した。
「収穫祭を通して、かつてはにぎやかだった上野の里の活気を取り戻したい」と平野さん。約50年もの間、イノシシ専門の猟師として筑豊地域を守ってきた。しかし、年々増え続ける耕作放棄地が、イノシシのすみかになり獣害被害が増加していることに懸念を抱いてきた。「耕作放棄地は今までの山に戻るわけじゃなく、イノシシがすみやすいやぶになってしまうので厄介。イノシシはレモンを食べない。レモンを通して。若者がこの畑で交流を深めてくれたら、次世代につながっていくかも」と期待を込める。