
「おいしい!と言ってくれることがお金よりもうれしい」と笑顔で煎餅を焼く小学4年の黒川椿己君
直方の駅前商店街にある「多世代交流スペースここっちゃ」で12月15日、5歳から高校生を対象にした職業体験プロジェクトが開催された。主催はNPO法人「mixjam」(福岡市東区)。同NPOが運営する「こどもの居場所いろり」では毎年、こどもの職業体験プロジェクトを実施しており、直方で開催するのは今年で3年目。
今年度は直方の地元企業が協力し、全6回の職業体験を実施。これまでに人力車体験やラジオパーソナリティー体験などを行ってきた。プログラムの最終回として「自分の店を出店する体験」を用意した。
児童・生徒らは、ポップコーン店や煎餅店などの店で接客を体験。同NPO代表理事の辻千恵さんは「職業体験を通して子どもたちに直方市の魅力を伝え、地方再生につながれば。小中の間は考えさせない教育が多いのに、高校に上がるときには急に『お前はどうしたいんだ?』と聞かれる。もっと小さなときから、さまざまな経験を通して自分の好きなことを見つけて、思うままに生きてほしい」と話す。
辻さんはもともと、知的障害児や発達障害児を専門に保育する保育士だった。その経験から、健常者と障害者が同じ場所で一緒に学び、生活できる場所をつくりたいと考えていたという。「今運営している『こどもの居場所いろり』では、子育てをみんなでシェアしたり、子どもたちがいろいろな経験できたりすることを大事にしている。全ての子どもたちが自分らしく安心して育つ環境をつくりたい。さまざまな価値観や壁があるが、いつかは健常者と障害者が一緒に過ごせる場所をつくりたい」と話す。