
飯塚の目尾(しゃかのお)炭坑跡で3月9日、親子向けイベント「レキシいいねん!目尾炭鉱跡」が開催された。飯塚市とエコ工房が主催し、飯塚歴史資料館が協力した。参加者は、かつて石炭産業で栄えた目尾炭坑跡の現状と、そこに息づく自然について学んだ。
珪化木の説明をする黒河雅文さん=飯塚・目尾炭坑跡で親子向けイベント
今回のフィールドとなった目尾駅跡は、かつて小竹町の小竹駅と飯塚市の二瀬駅の間を結んでいた、国鉄時代の幸袋線(こうぶくろせん)鉄道路線。赤字83線に指定され、1969(昭和44)年に廃止された。
当日は、かつて石炭の積み込みに使われた線路やポイント切り替えの設備など炭鉱時代の遺構を歩きながら探索。これらの場所は廃線後、子どもたちの遊び場となっていたという。
併せて、「筑豊の自然を楽しむ会」代表の岸本博和さんが講座を開き、竹とササの見分け方、生息する生き物の痕跡の観察の仕方などを伝えた。10年前に発掘調査が行われた際に一度は切られた竹類がやぶとなり、自然の遷移で、さまざまな種類の竹類が生い茂る様子も観察。「筑豊化石収蔵庫」館長の黒河雅文さんが、ボタや珪化木(けいかぼく)などの化石について解説した。
黒河さんは「近年、図書館や資料館は売り上げを生まない施設として排除される傾向にあり、人々が自然史に触れる機会が減っている。人間の根幹は自然と共にあるもの。この風潮が続くと人間が壊れていくのでは」と話す。
参加した日高杏実さんは「木の化石、石炭、使われなくなったレールを直接見たのは初めてだった。住んでいるところの近くで身近に歴史を感じることができて学びが多かった。炭鉱は日本を発展させた産業なので、その歴史を、より深く学び次世代に伝えたい」と話す。