
飯塚駅前の大型用地取得や12万坪を超える巨大工業団地構想。田川市を拠点とする「CHECK(チェック)ホールディングス」(田川市伊田)の動きが注目を集めている。2012(平成24)年の創業から14年、不動産・福祉・建設・農業を網羅する「まちづくり企業」へと進化した同社の佐々木義人社長が見据える「次の一手」に迫った。
■「不動産×福祉」から始まった原点
創業者の佐々木社長が26歳で同社を立ち上げた際、掲げた構想は「不動産×福祉」だった。創業1年目は平日に障害者就労支援施設で働き、週末に不動産業務を行う「二足のわらじ」を履いた。不動産管理の簡易作業を障害者が担うことで、人手不足の解消と社会参加の拡大を同時に実現する。この現場経験から生まれた「社会課題をビジネスで解決する」という視点が、同社の全ての事業の根底にある。
その後、物件オーナーからの相談を機に福祉事業を承継し、建設業や農業へと領域を拡張。現在はグループ6社、従業員75人を擁する組織へと成長した。2024年には農業生産法人を設立し、農家の高齢化による担い手不足というリスクに対し、廃校をライスセンターへ転用するなど「地域の遊休資産を新たな機能へ組み替える」独自のモデルを構築している。
■飯塚駅前を「暮らす場」のランドマークへ
今、注目を集めているのが飯塚駅周辺の再開発と連動したプロジェクト。同社が4月に取得を発表した「飯塚駅前事業用地」は、ゆめタウン飯塚に隣接する約1615坪の大型用地。地元の老朽建物を丁寧に集約して確保したこの地では、筑豊エリア最大級となる2棟・総戸数130戸規模の分譲マンション計画が進行している。
飯塚市が進める駅周辺の再整備により、利便性向上が見込まれるこの場所を、佐々木社長は「飯塚の新しい都市価値を形づくる起点」と位置づける。人口減少が進む地域において、あえて大規模な住宅供給に挑む背景には確固たる戦略がある。
■12万坪の工業団地と産学官の連携
住宅の「受け皿」を支えるのは、圧倒的な「雇用」の創出。同社は近畿大学産業理工学部の隣接地で、約12万3700坪に及ぶ大規模産業用地「セントラル・ビジネスパークIIZUKA(仮称)」の開発を進めている。老朽化した既存の工業団地からの移転需要や、新たな企業誘致の受け皿として、民間主導としては異例の規模を誇る。
この巨大な「働く場」の実現に向け、同社は近畿大学と産学連携協定を締結する方針を固めた。企業誘致に欠かせない「人材確保」の面で地域競争力を高めるため、飯塚市や金融機関とも緊密に連携。さらに、麻生グループなどの地場大手とも足並みをそろえ、地域全体でイノベーションを後押しする体制を整えている。
■「まちづくり企業」としての第二創業期
「不動産はあくまで手段。地域資源を再編し、エリア全体の価値を引き上げることが本質」と語る佐々木社長。香春町では宿泊施設の不足という課題に応え、2025年にホテル誘致を実現した実績も持つ。行政が予算の制約で手がけにくい領域に民間として介入し、スピーディーに価値を実装していくのがチェック流だという。
創業15年目を目前に、同社は「第二創業期」を迎えている。活動エリアは筑豊を超え、福岡市内や熊本などへも広がりつつある。不動産、福祉、建設、農業が有機的につながることで、持続可能な地域社会をつくる。単なる「開発」ではない、社会課題への「最適解」を提示し続ける同社の挑戦は、地方再生の新たなモデルケースとして期待を集めている。
ゆめタウン飯塚に隣接する大型用地「飯塚駅前事業用地」(写真提供=チェックHD)
