田川市の浦野仁市長が9月2日、田川市立田川東中学校(田川市夏吉)を視察した。就任直後から現場への訪問を希望していたところ、生徒会長の松田淳花さんから「一度現場を見に来てほしい」という手紙を受け取ったことが実現のきっかけになったという。
児島龍二校長の案内で校内を回る浦野仁市長=田川の浦野仁市長が田川東中を初視察
同校は鎮西、伊田、金川、中央の4中学校が統合し、2023年に開校した。本年度の生徒数は509人。浦野市長は7月12日の市長選で初当選し、「教育」「経済」「子育て」「福祉」の4つの改革を掲げ31歳で就任。福岡県内の現職市長では最年少となる。同校校区である金川地区の出身(統合前の金川中学校を卒業)で、同校を訪れるのは今回が初めて。
当日は2年生の教室や技術室、1年生の理科の授業、体育館でのダンスの授業などを視察。合唱を練習していた1年生と言葉を交わしたほか、体育館のエアコンの設置状況などを確認した。
教職員との意見交換ではICTの活用や不登校が話題に。児島龍二校長が「どの教室も電子黒板を使っている」と説明すると、浦野市長は「ICTは有用だが、成果が上がっていないというデータもある。しっかりと議論していきたい」と応じた。
加治芳教教頭は、一昨年度に110人以上いた不登校の生徒が本年度は78人に減ったと説明。「スクールソーシャルワーカーや教員の頑張りで、子どもたちが学校を楽しいと思えるようになった」と報告した。自身も学校に行けなくなった時期があるという浦野市長は「なるべくなら戻ってきてほしいが、不登校になった子どもにも学びの質を担保したい。減少したとはいえ全国平均に比べるとまだ高いので、行政として取り組んでいく必要がある」と話す。
同校は、10時間分の授業内容を8時間で終わらせて小テストなどを行う、市独自の「2ステップスタイル」に全教職員で取り組んでいる。昨年度から同校に勤める大阪出身の教員は「地域で『東中は治安が悪い』といううわさを聞くが、現場ではそう感じない」と話す。統合前の金川中時代に養護教諭を務めていた大場久子さんとは16年ぶりの再会に。大場さんは「統合で地域が一つになり、結び付きが強くなった。部活動の種類も増えた」と話す。
視察の最後には、浦野市長が生徒と一緒に給食(煮込みハンバーグ、ご飯、ABCスープ、牛乳)を食べながら意見交換。「4時間授業にして、帰って自学自習をする時間が欲しい」「給食の量を増やしてほしい」「タイ料理を出してほしい」などの声が上がった。
浦野市長は「来て良かった。授業の雰囲気は悪くなく、不登校についても学校が対策をしていると感じた。教育が一丁目一番地。教育者出身として、教育をどこの地域よりも良くしたい」と意欲を見せる。今後は、スマートフォンを使わない時間をつくり生徒が何かに打ち込める時間を確保する取り組みや、放課後の習い事事業、民間との連携などを検討していくという。
児島校長は「子どもたちの本当の姿や明るさを見てもらえて良かった。教育の課題は一緒に解決していけたら」と期待を込める。